お念佛からはじまる幸せ

2019年3月4日月曜日

冬の蜘蛛 私の母

   冬の蜘蛛 手足は動く 杖の先
蜘蛛の寿命は一年か。越冬できるのか。家の主(あるじ)のお情けで、取り忘れたような
巣に蜘蛛一匹。杖の先でそっとつつくと、手足はなんとか動くようだ。気温摂氏5度。
春まで命永らえると望んだ母。平成15年2月。
        病院の桜若葉が雪になり
             義母(はは)を送りし如月の朝
と、家内が詠んでくれた母は、享年80歳。
温もりの塊のような人だった。周りの人は皆幸せになれた。残念ながら、母の血よりも父親の性格が濃い私は、母ほど人を幸せにできない。幼い日、外で雪玉を作って手がかじかむと、炬燵の母に、後ろから、冷たい手を母の胸元に入れた、暖かかった。S字結腸がん第五ステージは、冬の蜘蛛だった。

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