お念佛からはじまる幸せ

2019年3月24日日曜日

バベットの晩餐会

映画の話である。1987年デンマーク MGM。デンマークの映画で、監督さんと思われる方のお名前が、アルファベットにない、発音記号のような字で、キャストもスタッフも
分からない。分からないが、素晴らしい映画であることは、間違いない。
食についての(テーマが食かどうか分からないが)映画では、私の中では、ベスト3に入る。ベスト1はこれ、バベットの晩餐会。ベスト2は、台湾映画「恋人たちの食卓」。さて、ベスト3は思い浮かばないので、未定ということにしておく。
時は、フランス革命の頃、天才料理人ともてはやされた、バベットは、夫も子供も殺され
映画の舞台の、海辺の寒村に逃れてくる。
その寒村には、マーチーネとフィリパという姉妹がいた。父親がメラン匕トンに因む(なんだかよくわからないが、ルターの宗教改革に関連する人名らしい)ある宗派の創立者で
村人から尊敬されていた。というところから始まり、狭い共同体の中での老人たちのせめぎあいや、この姉妹をめぐる恋愛事件やらが伏線になって、バベットの晩餐会が催される
経緯が説明される。
劇場映画のノーカット版では、船でバベットが大量の食材を運んでくるが、ウミガメを船
につないで、そのウミガメが、泳いでついて来たシーンが忘れられない。テレビ版ではどういうわけか、カットされている。動物保護か、絶滅危惧種への配慮か、知らない。
美味なるものを食するということは、悪魔の仕業であり、それに溺れることは、地獄への
近道と信じてきた、頑固な老人たちも、バベットの料理と美酒には、まんまとはまってしまう。フランス革命当時、カフェアングレという、料理店があり、そこで料理長だったバベットはいう。「カフェアングレでは、12人前の料理は1万フランでした。」せっかく
当たった宝くじを全部叩いて、当夜の客12人をもてなしたのだ。
客のなかには、出世して、デンマークの将軍になった、かつて、無頼の頃に、姉マーチーネに出会い、ひと目惚れし、結婚は、父親が許さず、心入れ替えて出世したローレンスもいた。彼将軍はいう、「これほどのアモンテリャードは飲んだことがない。」このシーン
を見る度、同名のシェリー酒で手に入りそうなものを発注してしまう。極上のものをいつか飲んで見たいと思いながら。1955年物バルケロソレラは、手が出ない。
妹フィリパが、バベットにいう。「貴方の料理は天国で天使にも気に入ってもらえるでしょう」と。感動できる料理ができるひとは、確かに芸術家であろう。ああ!魂を抉られるような、一品に巡り会える時を今日も夢見て、コロンボのチリビーンズでも作るか。

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